どうして親は教えてはいけないと塾は言うのか
塾は「親は教えないでください」なんて言いますが、それはどうしてでしょう?
ネットに出ている『親は方程式を使って教えてしまうから』なんていう話をまさか鵜呑みにしていませんか。
消去算は立派に連立方程式ですし、その他の考え方も方程式と仕組みは同じ。さらに、上位クラスでは方程式を使って解いている子は珍しくなく、マルイチ算は方程式と同じだと気づいている子はたくさんいます。教える側の先生も、マイナスの計算を教えないだけで、方程式と同じことをしていることはわかっています。そもそも方程式とは、「まだわかってない数を文字を使って表す等式」ですから、これが禁じ手だとすると、ほとんどの算数の問題が解けなくなります。では、どうしてそこまで塾は親を避けるのか。
結局、親に深入りしてほしくないというのが本音でしょう。
だって、親はキレやすい。子どもがわからないとすぐにキレる。
それが続けばどうなりますか?
「やる気ないならやめなさー---い!」と言い出すのです。
中学受験を諦められない親の場合は、やる気が出そうな塾へ転塾を考え始めるでしょう。
塾はこれが困るのです。
塾はやる気がない子でもやめなさいとはいいません。逆に、やめると言うと「(月謝のために)続けろ」と言うはず。要するに、「親が教えないでください」は、「見て見ぬふりをしてください」ということなのです。成績がふるわなければ、併設の個別でお金を落としてくださいとなるのです。いや、そんなね、お金の威力でどうにかなるのは美容くらいです。
塾は「頑張れ」「基礎から」と言いますが、そんなのまやかし。ただ塾を続けてほしいだけでは、子どもの「わからない」は一向に解決せずどんどん受験までの月日が減っていきます。
親が教えることができるならどんどん教えてあげてください。親に中学受験経験がなくてもいいのです。さすがに小学生よりは大人の方がコツを掴むのが早いでしょう。「ははぁ~、こういうことを習って、こんな風にしているんだな」と気づくはずです。それでも教えることができないというのなら、子どもの「できない」も多少は認めてあげてください。
そして、どうしてもキレてしまうというかた。その度にこれから言う私の話を思い出してください。
「キレて子どもにキーキー怒鳴ったあと、その日の子どもの頭は何も吸収しませんよ。」
これを読んで下さっているのがお母様だとしましょう。ちょっと想像してください。家の掃除の仕方について夫婦喧嘩になり、お父様が怒鳴ったとします。そのあと、モチベーションが上がりますか? 上がるわけがない。そんなことで反省しないから家政婦さんではなく「妻」という立場なんです。子どもも同じ。自分は「子ども」だと知っていて、目の前の人を「親」と認識しています。だから怒鳴られたあと、その頭はしばらく吸収しません。吸収しなくてもいいのなら怒鳴ってください。
中学受験は、親の堪える力を試す試験でもあるのです。